『17歳の肖像』ー虚像の自分への限界と闇へのはじまりー

blog

『17歳の肖像』(原題:An Education)

26歳で社会人2年目の私は仕事中に脳みそが暇したとき、ふと『17歳の肖像』という映画が頭に浮かんだ。それと同時に私が引きこもっていた過去も同時に色濃く思い出させた。

『17歳の肖像』(2009)は、キャリーマリガンとピーターサースガードが主演のイギリス映画。
キャリー演じる16歳のオックスフォード大学を目指す優等生ジェニーは、ピーター演じる倍以上歳の離れたデイヴィッドに出会い、大人の世界に魅了されていって、、、、というストーリー。
まあ、言ってしまえば優等生が悪い男に入れ込んで、どん底まで落ちて、、、っていう話。

私がこれを観たのは高校3年で18歳のとき。
既に引きこもりへの道へと進み始めていた、病みはじめ(または闇はじめ)の時期で、Googleで「精神状況 改善 方法」と検索し、映画鑑賞が良いと書いてあったのを頼りに、次ぎは「海外映画 恋愛 歳の差 おすすめ」みたいに適当に観る映画を探していたらこの映画に出会った。

なんで「海外映画 恋愛 歳の差 おすすめ」か?
日本映画は現実逃避するには現実すぎるから海外、
もう崩壊寸前まで来ていて誰かに助けて欲しい気持ちが恋愛、
そして二回りほど離れた年上の人が好みの私は歳の差恋愛に興味があるわけで、、、
こんな検索を簡単にさせた。

いくつかあったおすすめの中で『17歳の肖像』は、ちゃんと歳の差があったし、好きな水色が印象的なジャケットだったし、旧作で安くゲオで借りられそうなところもよかった。

元々私には海外映画に苦手意識があったのだが、これはその食わず嫌いを払拭してくれた。

ネタバレが嫌な方はここからは読まずに、、、
結局優等生がどん底まで行って、そこから努力して這い上がるようなラストなのだが、
それが病みはじめの私には一瞬でも心の平静をくれたし、
イギリスの異国情緒あふれる世界観が非現実世界へと簡単に連れていってくれる映画の世界に
私は魅了された。

当時高校3年生で18歳の私は、地方都市で進学校と言われる私立高校に通っていた。
県内の高校の中でも美男美女揃いの華やかな高校で、
その中でも私は文系選抜クラスにいた。
全体の中で言えばぼちぼち成績は良かった方だし、
友人関係も上手くやっていたと思う。(いわゆる陽キャとも陰キャとも仲良くできていた)
だけど、選抜クラスにいる私は底辺の成績しか叩き出せなかったし、
運動部活では足を引っ張り放題。
そんな中、ダイエットをきっかけに可愛くなったと言われる機会が増え、
着れる服も増え、自分に自信ができたことで体重にこだわりを持ち始めた。
1日に最低でも4回は体重計に乗り、良しとする体重であれば安心し、
その体重より軽かったり、重かったりしたらパニックを起こすようになった。
周りの目が自分を笑っているようにしか見えない。
知っている人も知らない人も自分を笑っている。
病院に行ったこともあった。
だけど、自分に欲しい言葉をくれる人はおらず全てが敵のようだった。
いや、本当は欲しい言葉なんてなかったんだと思う。
ただただ救って欲しかった。助けて欲しかった。
だけど同時に、放っておいて欲しかった。

高校3年生で年明けのセンター対策期間ぐらいから
小学校~高校まで皆勤賞だった私は朝から制服は着るけど結局部屋から出れず、
休むことが増え、不登校になった。
母はもちろん心配したし、
担任の先生、元担任の先生も心配してメッセージをくれ、家まで来てくれたりした。
友人もたくさん心配のLINEをくれたし、家まで来てくれた。
とても大事にしてもらっていたと思うし、恵まれていたとも思う。
でも、そのすべてが重荷に感じた。
”お願いだからほっといて”
そして、私はずっと欲しいと言って母が買ってくれたiphoneの画面に鋏を突き立てた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました